ハバロスク プロジェクト
ロシア共和国極東の都市ババロフスクにある日本式のクリニックである。
オーナーは日本の衛生商品をロシアに輸入するビジネスマンであり、日本には年に数回来日する。日本の医療施設を見て同じようなクオリティの施設を作りたいとの希望だった。日本を意識した設計にしてほしいとのオーナーの意向を受けて、エントランスは日本の先進的な医療センターのイメージと伝統的な蔵のイメージを組み合わせたものになった。建物は煉瓦造の高層住宅であり、地震の多い日本には無い形態の建物である
ハバロスク フォトストーリー 日本式クリニックー既存建物の改修
極寒のハバロスク、オーナーの希望に沿う物件探しから始まった
ロシア共和国極東の都市ババロフスクにある日本式のクリニックである。
オーナーは日本の衛生商品をロシアに輸入するビジネスマンであり、日本には年に数回来日する。日本の医療施設を見て同じようなクオリティの施設を作りたいとの希望だった。
健診を中心としたクリニックとして計画されたこの施設を計画するにあたって、いくつかの建物のテナントスペースを見に行った。ハバロフスクは冬季の気温がマイナス30度まで下がる。冬の服装は重い毛皮のコートや毛皮の帽子、長いブーツが想定される。
そして、市の中心部に近い比較的新しい物件を選んだ
最終的にこの場所を選んだのは建物が比較的新しい事と、市の中心部に比較的近かったからだと思う。
建物は煉瓦造の高層住宅であり、地震の多い日本には無い形態の建物である。
建物の外観はババロフスク市によってデザインが決められているので、街並みは整然としているが変更は難しい。
日本のイメージを表現したエントランス。デザインのポイント
唯一低層階のテナントスペースはキャノピーや風除室、看板は自由に付けられるのでこの部分がデザインのポイントになると思われた。日本を意識した設計にしてほしいとのオーナーの意向を受けて、エントランスは、日本の先進的な医療センターのイメージと伝統的な蔵のイメージを組み合わせたものになった。
これらはすべて日本で制作し、船で輸送した。
1階から差し込む光のコントロールが大事なポイントだ
唯一低層階のテナントスペースはキャノピーや風除室テナントスペースの入り口は一階だが、テナントの大部分は地下にある。傾斜地にあるので片面には窓があるが、なんとなく薄暗い。1階とは回り階段でつながっており、階段室の1階の窓から差し込む光の方が明るく感じられた。訪れる患者が落ち着いて診察を受けられるように光のコントロールが大事なポイントになると感じられた。
さくらの花びらと障子意識した光のタワー
内部も長尺シートには、さくらの花びらのイメージを配し、階段室には障子を意識した光のタワーを作った。
ガラスの導光板を組み合わせ下このタワーは主要室が下にあることを想起させるように周り階段の中心に配され、ガラスシートの桜模様が優しく患者を導いてくれる。制服も日本のデザイン、日本での調達である。
日本の職人技術が活かされた現場と長い工事期間で育まれた交流
引き戸をはじめとした扉も日本で制作し、船便で輸送した。ハンガー型の引き戸はハバロフスクでの施工実績がほとんどないと思われ、取り付ける職人も日本で手配をし、現地の施工に参加してもらった。
長い工事期間の中で交流が生まれ、地元のフェスティバルにも参加することができたのは楽しい思い出である。